「旧皇族」という言葉が、相変わらず“間違って”使い続けられている。
《産経新聞1面トップ記事》
例えば、いささか旧聞に属するが、自民党総裁選の最中、
産経新聞(9月9日付)の一面トップに「自民党総裁選/高市(早苗)氏
『旧皇族復帰案を支持』」という記事が載った。将来に向けた皇位の安定継承の為の方策なら、対象となる「旧皇族」は当然、
天皇陛下よりお若くなければならないはずだ。
しかし、改めて言うまでもなく、旧皇族(=元皇族)は皇族として
お生まれになって、その後、皇族の身分は離れられた方“だけ”に限られる
(令和3年2月26日、衆院予算委員会第1部会での池田憲治宮内庁次長の答弁ほか)。だからこそ、「復帰(元の位置、状態に戻ること、元通りになること)」
という表現になる。
ところが、現在、天皇陛下よりお若い旧皇族は、
国民男性とのご結婚によって皇族の身分を離れられた元内親王や
元女王だった方々しかおられない。先頃、ご結婚され、
アメリカに渡られた眞子さまもその例に含まれる。《お粗末な誤用》
しかし勿論、それらの方々に今更、皇族の身分に「復帰」して戴く訳にはいかない。
皇室と国民の“区別”を曖昧にするからだ。
皇室典範第15条は、その為の規定に他ならない。
こんな基礎知識すら欠けているのだろうか。そうでなければ、「旧皇族」「復帰」という、同方策にとって最も肝心で、
厳格に用いられるべきキーワードが、元は皇族だった方の子や孫など
(1分1秒も皇籍にいたことがない人々!)にまで不当に拡大して、
“いい加減に”使われ続けていることを意味する。それは、本来の旧皇族に対して、
とても非礼な振る舞いと言わねばならない。高市氏本人だけでなく、この記事を書いた記者や校閲担当者も、
そのことに気付いていないらしい。新聞の一面トップ記事に、これほどお粗末な誤用が
平然と載せられているのは、情けない。
先頃、保守系の論者の文章の中で、「元皇族」と「旧皇族」を
“別の”概念の言葉として使っているのを見かけた(『日本の息吹』11月号)。
もはや何をか言わんやだ。追記
11月16日発売の「週刊女性」(11月30日・12月7日合併号)に、
私のコメントを軸にした「悠仁さま “未来の天皇”という重責を逃れる『皇籍離脱の道』」
という2ページの記事が掲載されている。
なお、11月17日のブログで「高森稽古照今塾」とあるべき箇所(2ヵ所)の
「今」が抜けていたので、ここに訂正する。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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